満開の桜 ~幻想~
数日籠っているうちに
春の陽気で すっかり開花から
満開になっていた桜。
舞い散る花弁を纏いながら
吊られ 揺れることを
夢見ていたけれど
今年は
舞い散る花弁に誘われて
散ってしまいたいと
ふと、過る。
少しずつ閉じて
コモロウカト
霞む視界は 舞う桜か
ワタシナド…
ワタシナンカ …
後悔できるような道を歩んだわけでなく
何かを成したわけでもなく
もう、許して欲しいと
何度願ったことか。
逝くことも許されず
今更…
踏み出してみたものの
何も身についていないわたしに
出来ることなどなく
所詮、無理だったのだと
解りきっていたことなのに
抗うしかなかった。
けれど、もう。
「もう、いいよ。」
誰もかけてくれない言葉を
そっと呟く。
花弁と戯れる日を待ちわびる。
霞の中で。